スマートフォンの成長とPCの落ち込みが、目に見えて顕著になってきた。昨年2012年、スマホ出荷台数は7億1000万台で、PCの3億5000万台の倍を超えた(図1)。タブレット端末は、1億2830万台だったが、今年は2億台に迫り、2014年にはノートPCの出荷台数を上回ると予測されている。また、今年2013年1~3月期のPC出荷台数は、前年同月比13.9%減の7629万台となり、米調査会社IDCが統計を取り始めた1994年以来、最大の落ち込み幅になった。

図1 PC、スマホ、タブレットの世界出荷台数(出所:IDC)

 この現象は、コンピュータの歴史から見れば至極当然なことである。1940年代に誕生したENIAC以降、メインフレーム→ミニコン→デスクトップPC→ノートPCと、コンピュータは軽薄短小および低コスト化を続けてきた。この延長線上に、タブレットやスマホを置いてみればよいのである。

 かつてPCに駆逐されたメインフレームが今でもなくならないように、スマホに駆逐されつつあるPCもなくなりはしないだろう。しかし、出荷台数や売上高で、PCがスマホに追いつくことはあり得ない。なぜなら、今や誰もがコンピュータをポケットに入れる時代に突入し、この流れはもはや止めることができないからだ。

 このパラダイムシフトの舞台裏では、OS、プロセッサ、アセンブリ、そしてセットの各階層で壮絶なバトルが繰り広げられている。本稿では、特にプロセッサなど半導体チップに焦点を絞り、世界3強のインテル、サムスン電子、TSMCの比較を行い、その行く末を展望してみたい。

世界半導体3強の比較

 インテル、サムスン電子、TSMCをビジネス形態、半導体の形態や種類、強みと弱みを比較してみた(表1)。

表1 世界半導体3強比較
(売上高や利益は日経新聞を参照)
*1)スマホや半導体全体の売上高、*2)スマホや半導体全体の営業利益率
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