前回、オランダの教育の特色についてご紹介しましたが、初等教育におけるオランダを代表するメソッドにイエナプランというプログラムがあります。イエナプラン教育は、ドイツが発祥で、子供たちを複数の年齢層から成るグループに分けてクラス編成する点が大きな特徴です。

個性と協調性を両立させる教育

アムステルダム運河400周年、新国王誕生と併せ祝賀ムード

「北のベネチア」の異称で知られるオランダ・アムステルダムの運河は今年で400周年を迎える〔AFPBB News

 現在では、オランダがイエナプラン教育の最も盛んな国ですが、元々の方法論に固執せず教育関係者が個別の状況に合わせて、自分自身で応用的に実践することを勧めています。

 また現場では多種多様な教材を各自のレベルに応じて使い分けたり、全員を机に縛り付けるようなことはせず、自然素材の設備やカラフルな備品に囲まれた自由な空間で学ばせるという点も注目に値します。

 そのイエナプラン教育の主な特徴としては、「マルチエイジの根幹グループ」「リビングルーム的な教室」「サークル対話」「ワールドオリエンテーション」「沈黙と静寂の場」「学校職員のチームワーク」「保護者との協力的な態度」などが挙げられます。

マルチエイジの根幹グループ

 学級編成は、通常3つの年齢層によるグループ(4~6歳児、7~9歳児、10~12歳児)から構成されます。

 子供たちは、3年間を同じ教室の同じグループリーダー(担任教員)の下で、年少・年中・年長の3つの立場を経験しながら進級するということを繰り返しながら小学校を卒業します。

 そうすることで家族の兄弟関係に似た年齢差による立場の違いを体験すると同時にリーダーシップも学び、将来社会に出たときに相手の立場を理解して行動するための準備ができます。

 さらには、同年齢間に起こりがちな、できる子・できない子といったレッテルを防ぎ、子供たちの個性を生かすことにつながります。

リビングルーム的な教室

 イエナプラン校では、学校を子供と教員がともに参加してつくる共同体として捉えているので、教室の設計も、グループリーダーとクラスの子供たちがともに話し合いながら決めていきます。

 その教室には、異なる年齢の子供たちがグループで座る席や、読書用のソファー、パソコンでの情報検索用コーナーなどがあり、共同で作業をする場として、教室の中心には作業テーブルが置かれます。