2013年までにロシアの国家公務員の数が20%削減される見通しである。国家予算の負担を軽くするために、ロシア財務省が発案した政策だ。

 「失業につながる『厳しい措置』なので慎重に行うべきだ。しかし、うまくやれば効果は大きい」とメドベージェフ大統領は期待感を隠さない。

 計画通りだと、12万人あまりの国家公務員が削減されることになる。経済的には435億ルーブルの予算の節約である。この計画は、今月末に提出が予定されている大統領の予算教書で取り上げられるらしい。

官僚支配がますます進んだ新生ロシア

 ロシア連邦統計局によれば2009年10月時点でロシアの国家公務員の人数は86万8000人だった。10年前(1999年1月)の48万6000人と比べると、プーチン時代に2倍に増えたことになる。

 最も増えたのは地方公務員(2.25倍)である。次は市政の役人で2.07倍。人数は36万8000人で全国家公務員の半分に近い。

 この統計でロシアの国家公務員の男女比率を見ると、女性が約7割(2008年に71.7%)いるが、ほとんどは下っ端役人である。局部課長のポストにはあまりいない。官僚の平均年齢は39~40歳である。

 ロシアのメディアは、ソ連時代に、官僚の人口に対する割合は今よりはるかに低かったと伝えている。ある調査によれば、ソ連時代にいわゆる「政治階級」(政治活動に携わっている与野党の党員、政治団体、国家公務員など)は全人口の0.1%だったのに対して、現在は2%まで増えてきている。

 1991年の反共革命によって新生ロシアが生まれたが、逆に国家の官僚支配は進んでいた。エリツィンは「官僚主義は不治の病である」と確信し、96年に、上下両院事務局職員、連邦政府職員、大統領府職員の数を30%ずつ減らすと大胆な行政改革を公言していた。

 プーチンも2001年と2004年に行政改革、省庁の数の削減を宣言したが、それは無理だった。プーチンは電子政府を実現したがっているが、「安価で小さな政府」はまだまだ遠い。

官僚の人数よりも汚職と腐敗が問題

 しかし、問題は官僚の人数だけではない。有能な官僚は国家と社会にとって宝物であると考えているロシア人は少なくない。問題は、官僚による汚職と腐敗である。

 2005年1月に発行した「民間国家公務員法」の規定によれば、国家公務員は自分の所得を公開しなければならない。しかし、大統領府の関係者が嘆いているように、公開された数字と実際の所得はギャップが大きい。