私も企業の中では普通のサラリーマンである。人に認められたい「承認欲求」もある。そして、自分はこのような人間になりたいという夢もある。これらのバランスを取りながら、自己研鑽、企業内活動、私的な活動を行っている。

 ところで、デジタルマーケティングの関係者は自己研鑽と企業内活動が非常に結びつきやすい。なぜならデジタル領域では勉強することが多いからだ。そして自分で自分に投資した量が多いがゆえに、企業内評価や、企業貢献に対する欲求も当然ある。

 勉強したことが評価され、自分でも会社に貢献したという満足にきちんと結びついている人はいいのであるが、中には疑問を持っている人もいるかもしれない。今回はこの関係と人事評価について考えたいと思う。

従来の技術革新を凌駕する速度で進化するデジタルマーケティング

 2013年は、HTMLという規格が発表されてから20年という節目にあたる(ウィキペディア参照)。このHTMLという言語なくしては、ウェブの存在も、デジタルマーケティングの発展もなかったかもしれない。

 HTMLの規格が発表された1年後には、ウェブの規格について検討するW3Cというコンソーシアムが作られた。

 HTMLが登場してから約20年の間に、HTML自体の進化やコンピューターの性能向上により、ウェブやデジタルマーケティングは大きく進化した。こんなに短い期間でこれほど表現技術が進化したことは非常な驚きである。

 私たちが経験したテレビの歴史は、日本では約60年程度である。その間の大きな技術の変化は、白黒テレビ、カラーテレビ、デジタル化と大きく3回あった。でも、60年で3回なのである。

 一方、ウェブ空間では、この20年の間にテキストと画像だけの組み合わせから、音声、映像が取り扱えるようになるなど表現形式が増えた。

 また、20年前には電子商取引は想像できなかったが、今では多くの銀行がインターネットを使ったサービスを提供しているし、航空券のインターネット予約なども普及している。

 このように進化の早いウェブであるが、そのことはW3Cの活動にも明確に記述されている。「ウェブは、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、言語、文化、場所等の違いや、身体的、精神的能力にかかわらず、すべての人に提供されるべきものである」というのが、W3Cの命題なのである。

 事実、この命題を満たすために、HTMLの規格自体もHTML5という新たな規格を作り、多くのハードウェアで多様な表現ができるようになっている(参照:「HTML5がメディアにもたらすインパクトを読み解く」)。