なでしこジャパン主将が語る、「世界で勝つ」とは

　まもなく開幕を迎える南アフリカでのサッカー・ワールドカップ（W杯）。男子日本代表に注目が集まるが、その傍らで女子代表（なでしこジャパン）の健闘ぶりが目立つ。現在、世界ランキングで5位。

北京五輪の準決勝戦。米国のロリー・チャルプニーと球を奪い合う澤穂希〔AFPBB News〕

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　5月30日に終了したAFC女子アジアカップ2010（中国・成都）では、オーストラリアに敗れて決勝進出を逃したものの、3位決定戦で中国に2－0で快勝した。これによって2011年6月開催の女子W杯（ドイツ）出場が決まり、W杯は6大会連続出場となる。

　この3位決定戦で見事なヘディングシュートを決めて勝利に導いたのが、キャプテンの澤穂希さん（米ワシントン・フリーダム所属）。ちなみにこのゴールは、国際Aマッチ通算75ゴール目となり、釜本邦茂・日本サッカー協会名誉副会長が持つ男子の最多記録に並ぶ。

　大会終了後中国からアメリカに向かう途中の、2日弱の日本滞在の中で、澤さんに2時間にわたってお話を伺うことができた。

　対談の相手を務めていただいたのは平田竹男・早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授。平田さんは、プロフィールにもある通り、通産省（現・経済産業省）でJリーグ創立に尽力した後、2002～06年まで日本サッカー協会の専務理事を務めた。

　この間に平田さんが、男子サッカーに対するのと同じくらいエネルギーを注いだのが、女子サッカーの振興である。この経緯は、『サッカーという名の戦争』（新潮社）に詳しい。

　今日から3回シリーズでお届けする対談の第1回では、世代交代期にあるなでしこジャパンの現状と、澤キャプテンから岡田ジャパンへのエールをお伝えする。（編集部）

大事な試合で「点取るよ」と有言実行

平田竹男（ひらた・たけお）氏
1960年、大阪府生まれ。1982年横浜国立大学経営学部卒。同年通商産業省（現経済産業省）入省。2002年に経済産業省から退官し、2006年まで、（財）日本サッカー協会専務理事。現在は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授。日本スポーツ産業学会理事長。東京大学工学博士。著書『サッカーという名の戦争』（新潮社）、『野球を学問する』（桑田真澄との共著、新潮社）、『トップスポーツビジネスの最前線』（講談社）他。
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（撮影・前田せいめい、以下同）

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平田　W杯出場決定おめでとうございます。

澤　ありがとうございます。

平田　今回のアジアカップではだいぶメンバーを替えましたよね？

澤　そうですね。若くなりました。今回は怪我人がいたんです。ストライカーの大野（忍）が怪我でドクターストップがかかっていました。スピードがあって得点の取れる大野にこれまでいかに頼ってきたか、ということを痛感しました。

平田　速くて点が取れる選手を欠くと、やはり苦労する。

澤　せっかくドイツ組（永里優季、安藤梢）とアメリカ組（宮間あや、山口麻美、澤）が戻ってきた中で、ベストメンバーで戦えなかったというのは残念ですね。

平田　ベストメンバーでないのに勝てるからすごい。

澤　でも、準決勝のオーストラリア戦で負けちゃいましたよ。

平田　本当は勝てる試合だったよね。

澤　勝てましたよ。相手の決定的なシュートは1本だけですもん。