前篇の「急拡大するモンゴル経済にビジネスチャンスあり!」ではモンゴルにおけるビジネス環境の現状を見てきましたが、今回はいくつかの業種別にビジネスのポテンシャルを探ってみたいと思います。

 これから発展していく国々の多くに言えることですが、日本では成熟産業であるものが、あちらの国では成長産業になり得ます。

 内需が低迷している日本の国内事情を背景に、体力のある大手企業は海外展開を加速していますが、中小企業はその後塵を拝しているのが現状ではないでしょうか。

 そんな中小企業にとって、モンゴルは他国に比べてまだ競争も少なく、市場もコンパクトなため進出のハードルが比較的低いのではないかと思います。

 そして日本人の優れた技術力や、納期を守る勤勉さ、仕事の丁寧さなどはモンゴルでも非常に重宝されています。日本人が経営者というだけで差別化になっているという話もよく聞きます。

ものづくり――日本のデザイン、技術力に秋波

●鉱工業

 GDPの約30%、政府収入の30%、輸出の約90%を占め、モンゴルの屋台骨セクターである鉱工業は、その周辺事業にも好機があります。

 今後次々と鉱山開発が進む中、建設機械や鉱山機械、トラック等輸送手段の供給もニーズがあるでしょうし、鉱山会社向けに空調や安全機器、衣類、食料品などの供給や、アパート・ホテルなど住居建設の需要も見込まれます。

 既に住友商事はオユントルゴイ鉱山(世界3大銅・金鉱床の1つ)の機械納入を受注したり、投資会社のUBIは、世界屈指の規模のタバントルゴイ石炭鉱山から中国への輸送トラック向けのガソリンスタンドを経営して繁盛しているようです。

●重工業

 いくら鉱物資源が豊富と言っても、そのまま輸出するだけでは収益が限られてしまいます。そこでモンゴル政府は付加価値をつけるためにも重工業を重視しています。

 高付加価値を生む加工系プラントや高性能な燃焼炉などの建設をはじめ、モンゴルの政府も企業も日本の高い技術へ高い関心を寄せています。しかしながら日本側の意思決定が遅かったりなどでドイツなど他の国に発注しているケースも多々見受けられます。