我が国では、政局が緊迫・混乱している。民主党の野田佳彦総理は政治生命をかけて消費税増税法を参院本会議で可決、成立させたが、衆院解散の「確約」を巡り、与党民主党と野党自民党などとの鍔迫り合いを繰り広げている。
李明博大統領の苦し紛れの暴挙、保身のために竹島上陸
7月末に実施された毎日新聞の世論調査では、野田内閣の支持率は6月の前回調査より5ポイント下がって23%となり、昨年9月の内閣発足以来最低となった。
不支持率は前回と同じ53%。また、民主党の支持率も政権交代後最低だった前回から1ポイント減の9%だった。
この点、韓国大統領は羨ましい。なぜなら、失政やレームダック期に人気回復できる「魔法の杖」を持っているからだ。「反日・歴史問題」という「魔法の杖」だ。歴代大統領がこの「魔法の杖」を愛用してきた。
李明博大統領も例外ではなかった。同大統領は、日本固有の領土で、韓国が不法占拠している竹島に、10日、上陸を強行した。
李大統領は日本生まれで、就任当初から「成熟した日韓関係」を標榜し、実務的で未来志向が強く、日本との連携強化に熱心だった。
それが、政権末期になり、金銭疑惑などによる実兄や側近らの相次ぐ逮捕、辞任によって求心力が著しく低下する中、人気回復を図ろうと「魔法の杖」を使った側面があろう。
遠交近攻の策
「遠交近攻の策」とは中国の戦国時代に范雎(はんしょ)が唱えた戦略で、「遠方の国と親しくして、近い国を攻め取る」外交戦略である。
韓国自身、冷戦時代にはこの「遠交近攻の策」に励んだ(むろん、今もそれを継続している)。韓国は北朝鮮の後ろ盾であるソ連と中国に対して外交戦を展開した。それが「北方外交」である。
韓国としては、ソ連と中国との関係を改善することにより、北朝鮮を背後(北方)から牽制しようと目論んだのであった。