大津市の中学校で発生したいじめ自殺事件は、「自殺の練習をさせられていた」などの報道によって、日本を揺るがす問題となっています。

 しかし今回の事件もまた、日本がいじめの根絶に向かうきっかけにはならず、時が過ぎれば忘れ去られ、また新たな犠牲者が出てまた大騒ぎをするというパターンを繰り返すことになるでしょう。

 なぜなら、いじめは、一般のメディアで表面的に言われるように「よくない」こととは全く思われておらず、実際は「いじめられた方が悪い」とするのが社会常識だからです。

学校を追い出されるのは常にいじめられた側

 そんなことはないと反論される方に申し上げます。こんなケースを想定してください。

 自分の子供、あるいは近所の子供がいじめられていた。子供は深刻なトラウマを抱え、いじめを行ってきた者たちと顔を合わせられなくなって、学校に行けなくなった。それで父兄は別の学校に行かせようとし、学校もそれを了承した・・・。

 これはおかしい、不当だと思わないなら、読者諸兄は「いじめられた方が悪い」とする社会常識に染まっています。

 窃盗や殺人などの犯罪を犯せば、逮捕されて刑務所にぶち込まれます。懲役という形で、個人の自由を奪う懲罰を受けるわけです。

 いじめの場合、今回のような騒ぎになったり、刑事事件にでもならない限り、いじめを行った者は学校を追い出されません。学校にいる自由を奪われ、追い出されるのは、常にいじめられた側です。

 なぜ、いじめた側が転校せず、いじめられた側が転校しなければならないのか。そんな疑問を持ったり、主張をしている人を、私は見たことがありません。よって私は「いじめられた方が悪い」とするのが社会常識だと断定するのです。