北朝鮮による日本人拉致問題の解決のために米国の協力を得ようとする日本側の代表団が、5月6日から12日までワシントンを訪れた。拉致被害者救出のために活動する「家族会」「救う会」「拉致議連」の合同訪米団である。
拉致問題でのこの種の訪米はこれまでもほぼ定期的にあったが、今回は意外な形での日米共闘が組めそうな状況が生まれたことが特徴だった。米国人青年が中国領内から北朝鮮に拉致された可能性が、新たに高まったからである。
北朝鮮工作員に日本国内で誘拐されて、凍土の共和国、北朝鮮に連行されたままの日本人男女を救おうというのは、日本国民の悲願だとも言えよう。だがその悲願の達成は、2002年に時の小泉純一郎首相が平壌を訪れ、金正日総書記に日本人拉致を認めさせ、被害者の5人が帰国したところで止まっている。
今年はその小泉訪朝からちょうど10年、なんとか解決へのドアをこじ開けたいところである。訪米団もそんな思いを胸にワシントン入りしたと言える。
北朝鮮を大きく動かしうる米国からの圧力や支援
今回は、実際に肉親を拉致されたままの「家族会」から飯塚繁雄代表と増元照明事務局長、拉致問題の解決を側面や後方から支援する「救う会」から西岡力会長と島田洋一副会長が訪米した。
加えて、拉致問題の解決に関与する国会議員の集まりの「拉致議連」から会長の平沼赳夫衆議院議員、事務局長の古屋圭司衆議院議員、さらに衆議院の市村浩一郎、竹本直一両議員、参議院からは山谷えり子、塚田一郎、金子洋一各議員と、合計7議員がワシントンを訪れた。
この3組織の代表たちが合同訪米団として、米国側の政府や議会、そして民間研究機関などのメンバーと会談し、日本の拉致被害者救出の努力への協力や連携を求めた。
日本人の拉致被害者の救出をなぜ米国に訴えるのか、という疑問も日本側ではあるだろう。米国に協力を求める理由は、まず超大国の米国が北朝鮮に対しては陰に陽に大きな影響力を持っていることである。