前回の記事では、スマートフォンの普及に伴う「ハイパー・コネクテッド・ワールド」のビジネスモデルとして、農業やマイクロファイナンス、そして自動車業界の動向を挙げた。

 今回は、消費者向けのビジネスとしてどんなことがMWC(モバイル・ワールド・コングレス)2012で議論されていたのか紹介したい。

リアル連携が新たな消費体験となる

 B2C分野では、リアルとネットの連動性がより深まる。この分野に関心を持っているのは「ベスト・バイ(Best Buy)」や「イーベイ(eBay)」といった小売事業者である。

デジタル時代の小売業の役割を説くベスト・バイCEO

 ベスト・バイは、4300店を展開する米国の家電量販店で売上503億ドル。イーベイは、売上117億ドルのeコマースサイトである。

 興味深いのは彼らが限られたパイを奪い合うのではなく、サービスを相互乗り入れし、小売市場を拡大しようと考えている点だ。

 「ベスト・バイ」や「イーベイ」の講演抄訳は、『明日のメディア:デジタル – スマートフォンは「ライフ・チェンジャー」10年後の未来を語るMWC2012 - 』に収めているので参考にしてほしい。

スマートフォンを持ちながら講演するイーベイCEO

 例えばイーベイは、リアル店舗の在庫状況を検索できるベンチャー企業を買収し、自社サービスとして提供する。リアル店舗にはベスト・バイも表示される。イーベイで買った商品を取りに行くのにベスト・バイを利用することもできる。

 また、ベスト・バイはeコマース分野にも進出している。MWCで、イーベイとベスト・バイのCEOは、ネットとリアルを組み合わせた利便性と拡張性が、新たなショッピング体験の価値だと話していた。

おサイフケータイ、モバイルペイメント

 おサイフケータイやモバイルSuicaといったスマートフォンで支払いをする仕組みのモバイルペイメントも注目を集めた。日本ではもはや当たり前のサービスだが、まだ一般的ではない国の方が多い。