前回の記事でスマートフォンは「ライフ・チェンジャー」であるという話をした。今回は、スマートフォンによって生活がどのように変わるのか、について議論を深めたい。

「ハイパー・コネクテッド・ワールド」の出現

シスコのチェンバースCEOは客席にまで降り、熱弁を振るった(著者撮影、以下同)

 モバイル・ワールド・コングレス(以下、MWC)の基調講演で、シスコのジョン・チェンバース最高経営責任者(CEO)は、スマートフォンが普及する10年後の未来を「ハイパー・コネクテッド・ワールド」と呼んだ。

 興味のある方は、彼の講演抄訳を「明日のメディア:デジタル - スマートフォンは「ライフ・チェンジャー」10年後の未来を語るMWC2012 -」でリポートしているので参考にしてほしい。

 パソコンとインターネットを中心にした「コネクテッド・ワールド」が、先進国やIT企業だけのものだったのに対し、「ハイパー・コネクテッド・ワールド」は、アジアやアフリカといった新興国や自動車や農業、また機械同士の通信であるM2M分野など、既成概念からは想像もつかない領域のつながりを指し示している。

 つまり、スマートフォンやモバイル通信の普及で、インターネットがよりリアルで実生活に近い活動とつながっていくのだ。

 では、企業はこの「ハイパー・コネクテッド・ワールド」で、何を実現しようとしているのだろうか? B2BとB2C分野、2回に分けて考えてみよう。

機器同士が自動でやり取りするM2M

 B2Bビジネスで期待されるM2Mとは、Machine to Machine(マシン・トゥ・マシン)の略で、機器同士が通信で情報をやり取りすることを言う。

 携帯のメアド交換に赤外線通信を使ったり、コードレスのマウスに使われているブルートゥースなど、既に我々も身近に利用している。

 ほかにも、服の卸倉庫で、商品の出荷時にハンガーなどに付いている部品から信号が発信されて、倉庫の在庫数が1つ減るのが分かる仕組みといったものもある。そこに、スマートフォンから在庫管理のデータベースにアクセスして、発注するといったことも考えられる。