2月末にバルセロナで開催されたモバイル・ワールド・コングレス(MWC)に参加した。

 MWCは、毎年世界中から6万人以上が参加する世界最大のモバイル関連見本市である。そして、今年の話題も、スマートフォンであった。

バルセロナの象徴、サグラダ・ファミリア(著者撮影、以下同)

 しかし、その捉え方が昨年までとは少し違っていた。

 今までスマートフォンは、ビジネスモデルの変革を迫る「ゲーム・チェンジャー」として議論されていた。

 ところが、今年は我々の生活や社会全体に変化をもたらす「ライフ・チェンジャー」という視点が加わった。もはやスマートフォンの影響はビジネス領域だけではないというのだ。

 この議論の模様は、イズメディア・モールから発売される「明日のメディア:デジタル - スマートフォンは「ライフ・チェンジャー」10年後の未来を語るMWC2012 - 」で詳細にリポートしているので参考にしてほしい。

10年後、世界で240億台のインターネット接続機器が普及する

 こうした議論の背景には、インターネット接続機器の爆発的な普及がある。MWCの主催者GSMAが期間中に発表した資料に、私は少し驚いた。

 というのも、今後10年でモバイルを含めたインターネット接続機器が240億台まで増えるという。現在、ネット接続機器は90億台普及し、既に世界人口70億人を超えているが、全く飽和することなく、まだまだ成長するのだ。

 ちなみに、今回MWCに参加したロシアの通信キャリア「ビンペルコム(Vimpelcom)」社は、アジア・アフリカ市場に4億件の加入者を持つ。中国の通信キャリア「チャイナ・モバイル」社は、6.5億件だ。

 NTTドコモの加入者は6000万件である。比較すると新興国市場の大きさが分かる。

低価格なスマートフォン

 日本でスマートフォンというと先端的で高価格なイメージがある。そのため、収入の少ない新興国の人たちが、高機能で高価格なスマートフォンを買えるか、疑問を持つ人も多いだろう。

 しかし、世界に目を向けると、低価格なスマートフォンが多数販売されている。バルセロナの家電量販店で売られていたスマートフォンは54ユーロだった。また、米国でもアイフォーン(iPhone)のようなタッチスクリーンのスマートフォンが50ドルで売られている。