中国で最も強力な権力者集団と言えば、中国共産党 中央政治局 常務委員会であることは間違いない。この集団を統率するのが「党総書記」であり、2012年後半に予定されている第18回党大会で、このポストが胡錦濤から習近平に移譲されることは既定の路線となっている。

 現在9名いる常務委員のうち、総書記に就任する習近平と、国務院総理就任が確実視されている李克強の2人が留任し、残りの7名が党大会開催時に定年ラインの68歳に到達するため引退する。

 その後任は現在の党中央政治局委員の中から選抜されるが、常務委員を除いて現在16名いる中で引退年齢に達しないのは9名であり、その中から7名が選ばれるとすれば、その予想はさほど難しくはない。

 しかも、そのうちの有力な1人であった薄熙来(前重慶市党委書記)が、腹心であった重慶市前公安局長の王立軍による四川省成都の米国総領事館への亡命未遂事件によって政治局委員を解任され、事実上の失脚となったから、脱落するのはわずか1名ということになる。

 すなわち、王岐山、龍雲山、劉延東、李源朝、汪洋、張高麗、張徳江、兪正声の8名から7名が常務委員へ昇格するわけで、私見による独断では、劉延東か兪正声のいずれかが脱落すると思われる。

第18回党大会人事を占ってみる

 日本の政界は「一寸先は闇」だとされるが、今回の薄熙来の例を見れば中国の政界も同様なのだろう。その意味で、第18回党大会人事を現時点で占うのは、無鉄砲な所業とも言える。しかしながら、ここまで説明したように、これまでの中国共産党の人事の原則にのっとれば、担当する役職を含め、かなりの確度で大枠の人事予測は可能である。

 今後の権力闘争の展開次第で変化がありうることを勘案し、現時点での予測があくまでも「参考」にとどまることを念押しした上で次期常務委員を占えば、およそ次のようになろう。(※)は引退予定者を意味し、( )内は就任予定者の就任時年齢を示す。

・党中央総書記(中央軍委主席、国家主席兼務が原則) 胡錦濤(※)→ 習近平(58)

・全人代常務委員長(国会議長に相当)        呉邦国(※)→ 王岐山(64)

・国務院総理                        温家宝(※)→ 李克強(57)

・全国政協主席                       賈慶林(※)→ 兪正声(67)

・党中央精神文明建設指導委員会主任(宣伝工作)   李長春(※)→ 劉雲山(65)

・国家副主席(中央党校校長兼務)          習近平→ 李源潮(61)

・国務院常務副総理                   李克強→ 汪 洋(57)

・党中央紀律検査委員会書記(司法)         賀国強(※)→ 張徳江(65)

・党中央政法委員会書記(公安)            周永康(※)→ 張高麗(65)