よく「機を見るに敏」なんて、言いますよね。ビジネスチャンスというのは重要なものです。あらゆるスポーツは瞬間のタイミング、反射神経で勝負が決まることが少なくない。
これに対して「石の上にも三年」とか「雌伏十年」なんて言葉もある。こっちは、瞬間的な反射神経とはちょっと話が違いそうです
そういう息の長い話で最終的にサクセスする人もいる。前回ご紹介した利根川進さんのケースなどもそうだと思いますし、「商い」は「飽きない」などとも言うがごとし、決してビジネスだって、瞬間風速の反射神経だけでやるものではないでしょう。
これ、芸術だって学術だって、同じことだと思うのです。1つには俊足、足の速い一流があるし、もう1つは鈍足というよりは腰の据わった一流がある。
ということは、これを指導するのも一筋縄ではいかない、つまり「1人の『自分先生』」が必要なのではないか? というのが今回の「上級編」のお話です。
「B級一流」上等?
セカンドベストという言葉があります。これって、現場ではとても大事だと思うんですね。何か仕事上でアクシデントがあった、その場で判断しなければならない。
もっと物資も時間も予算もあれば、違うことができるし違うこともしたい。でもそういう余裕がない、というとき、とっさにどう考えるか。
まさに、さきほど触れた「反射神経」の問題になると思います。
反射神経が求められるフィールドでは、前回お話しした「高校1年程度で8割合格」の世界が一流を決めると思います。
競合他社と新モデルをめぐって熾烈なビジネスウオーズを戦っているというとき、新製品のために基幹技術から「よっこらさ」と立ち上げ直していたら、それこそ泥棒を捕らえて縄を綯う、商機はすべてどこかに逃げてしまうでしょう。
鮮度が重要な世界では、壊れかけた橋を駆け渡っていくような仕事もしなければならないかもしれません。
そういう、超A級のクオリティーでなくても、B級以下の要素を適切に繰り出して、有限の時間でサクサクと仕事をしていくことを、かりに「B級一流」と呼んでみます。