近年住宅価格の大幅な上昇でバブルの様相を呈していた中国都市部の住宅価格は、矢継ぎ早に発表された不動産価格の抑制策により、足元で値下げに転じる格好となっています。
特に、住宅購入制限策である「限購令」が発表されて以降は、住宅成約数が大幅に減少し、住宅の販売も低迷が続いています。これまで強気だったデベロッパーも、販売価格を下げたり、購入時に一部家具を贈呈するなどの優遇措置を取っています。
こうした一連の政策により、ようやく落ち着きを取り戻し始めた住宅価格ですが、これに反して依然価格の上昇に歯止めがかからないのが、駐車場の専用使用権です。
今回は、中国が直面している駐車場不足の問題や法律上の問題について報告します。
供給が追いつかない駐車スペース
経済発展が急激に進む中国では、所得の増加に伴い、マイカーを保有する人が年々増加しています。
一方で、建設ラッシュによる都市部の過密化により、駐車スペースが限られてきており、駐車場の確保は運転手にとって深刻な問題となっています。
以前は、マンションの駐車場に確実に駐車することができたという中国人の友人も、最近は駐車スペースが見つからず、やむを得ずマンションの外の道路脇に駐車していると話していました。
また、富裕層になると、1世帯で3台も4台も車を持つようになるため、数少ない駐車スペースはますます減少しています。以前はマイカーの保有率がそれほど高くなかったので、こうした駐車スペース不足の問題もそれほど浮き彫りになっていませんでした。
このため、都市部の不動産開発において、駐車場の建設基準はそれほど厳しくなかったようです。
現在は、中国政府もこうした問題を是正するため、開発プロジェクトに対し、一定数以上の駐車スペースの建設を開発許可の条件としていますが、それでも急激に増加する駐車需要に対しては対応しきれていないというのが現状です。
急騰する駐車場の専用使用権
筆者は、2012年2月上旬から中旬にかけて北京周辺都市の住宅開発プロジェクトをいくつか視察してきました。