ロシア大統領選挙まで1週間を切った。ロシア国内の反ウラジーミル・プーチンの動きは相変わらずであるし、親プーチンもここにきて巻き返し攻勢に出ている。

 こうした大衆動員の動向はさておき、筆者の手元に届く金融関係のリポートを読むと、興味の焦点は3月4日後に移っているようである。もちろん、選挙結果は1回目の投票で決まるのか、2回目で決まるのかはともかく、結局はプーチンである。

札幌、名古屋を閉鎖、ロシアに力を入れる米商務省

ロシア大統領選を告知する看板

 こうしたなか、最近目につくのが米国政府の対ロ通商政策に関する報道である。

 2月13日付のモスクワ・タイムス紙には米商務省はロシアにおける商務担当者を増員する方針であることを報じている。

 これはバラク・オバマ政権が掲げる米国の輸出倍増政策の一環であり、ロシアのみならず今後成長が見込まれる世界中の新興市場に商務担当者を手厚く配分する一方、相対的に重要度が低下した地域からは人員を引き揚げる。

 報道によればこの削減対象には我が国の札幌、名古屋も含まれている。何とも複雑な心境である。

 それから1週間ほど後の21日付のモスクワ・タイムス紙には在モスクワ米国大使館の通商担当公使のコメントが報じられている。

 米国政府は「農業機械」「化学・プラスティック」そして「省エネ・クリーンテック」の3分野を対ロシア通商の重点テーマとする一方、従来重点分野であった「化粧品・トイレタリー」は重点分野リストから外される。

 確かにここ数年、ロシアの農業セクターは急成長を遂げており、米大手農業機械会社ジョン・ディアー(John Deer)はロシアでの現地生産を始めている。それどころか、米国の農民はロシアで農業会社の経営、さらにはカザフスタンで牧場経営まで始めている。

 米国人にとっては西部開拓の延長なのだろうか。