北米報知 2012年2月1日号

 ワシントン州が電気自動車(EV)普及を目指した大型環境保護事業を推進している。米国運輸省による「West Coast Green Highway」と同エネルギー省による「The EV Project」の2つで、ノースウエスト地域が旗頭となり環境対策に取り組んでいる。

 「West Coast Green Highway」計画は、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州が共同で米国とメキシコ、カナダ両国境を結ぶ約1350マイルからなるフリーウェイI-5で、ガソリン以外の自然エネルギーや電気自動車などの利用推進を図る。

シアトル市内インターナショナル・ディストリクトに設置された電気自動車充電施設で充電する日産リーフ

 ワ州運輸局(WSDOT)は同計画の一環として、「Electric Highway」事業を2010年に立ち上げ、I-5に40から60マイル間隔でEV用の充電施設の設置を目指している。

 I-90、I-405、州道2号にも設置される見込みで、昨年12月にはワ州北端の充電施設地、ベリンハムで起工式が行われた。WSDOTによると、充電施設は早くて今年春から起動し始める。

 「The EV」事業は2010年から全米6州、18の都市で展開され、ワ州ではシアトル市、キング郡といった自治体、タコマパワー、ピュージェットサウンド・エナジーといった電力会社や地元企業も参加する。

 米国エネルギー省から1億1500万ドルの補助金を受け、EV購入者への補助金やEV充電施設を提供することで、将来的な目標となる普及台数500万台を目指す。

 ワ州はblinkと呼ばれるEV充電施設を128カ所、シアトル市内では56カ所設置し、EV購入への補助金、税制上の優遇を行うなどEV普及に向けた支援を続けている。

 本紙事務所前駐車場にも充電施設が2カ所設置されている。オレゴン州では176カ所に設置され、全米を見てもノースウエストにおける充電施設設置数はかなりの数となる。

 EVは温室効果ガスを排出せず、ガソリン利用を防ぐ利点がある一方、充電時間や場所の問題、また走行距離や価格面が課題と見られている。ワ州では交通部門が温室効果ガス排出量の半分を占めており、EVとインフラの普及によって排出量の削減を目指す。

 新分野の技術開発に興味を持つBMWなどの企業誘致、雇用の促進もまた大きな狙いの一つのようだ。

(記事・写真 = 兼崎 雄貴)

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