「ニッポンの電力」の今が気になって、各電力会社のウェブサイトを巡回するなどしてデータを集め、整理してみた。
それぞれは無機質な数字の羅列でも、いくつかの視点を持ってまとめ直し、グラフを描いてゆくと、そこに何らかの傾向が浮かび上がってくる。
特に最近は表計算ソフトのおかげで大量の数字を「可視化」する作業がほんとに楽になった。私の学生時代は「生データ」から手計算した結果を表に書き込み、そこから数字を1つずつ拾ってグラフを手書きするしかなかったから、これから紹介するようなデータ整理をしようとしたなら、それこそ目と手と脳がくたびれ、少なからぬ時間を費やすことを覚悟しなければならなかった。隔世の感がある。
原子力発電の割合が小さくなり、火力発電で代替
それはともかく・・・まず日本全国でどのくらいの電力が生み出され、使われているか。その総量とそれがどんな方法で発電されたものかを、月ごとのデータで整理してみる[グラフ1]。
発電総量は夏、冬それぞれにピークが現れる形で変動し、東日本大震災の後、6~9月は前年に比べて確実に減ったが、この冬に入って前年並みレベルに戻っていることが分かる。そして、2011年3月から原子力発電が刻々と、明らかに縮小し、その分(以上)に火力が増えている。水力は季節変動が明確。「新エネルギー」の現状は、このグラフでは確認できないほど小さな発電量でしかない。
拡大画像表示
総量で見れば、2011年3月11日の東日本大震災とそれを引き金に起こった福島第一原発の事故から後の何カ月かは、さすがに前年比で5~10%少なくなっている。特に8月は「電気を節約しましょう」の掛け声もあって前年比12.1%減、9月は9.1%減。しかし10、11月と5%前後の減少に止まり、下旬から本格的な寒さが訪れた12月は1.3%の減少、つまり前年までと同じような電力の使い方に戻ってしまっている。
この「日本中で使った電力」の総量以上に大きな問題は、それをどうやって生み出したか、という発電方法の内訳である。