日本の企業社会は、やはり「閉鎖的」なのかもしれない。新しいものはよってたかって排除しようとするが、古いものは守ろうとする。

 巨額の損失隠し問題で揺れるオリンパスは、現旧取締役19人が損失隠し問題で会社に損害を与えた、と認定した有識者委員会の報告書を1月10日に公開した。ここまでは評価されていい。

 問題は次の段階である。会社に損害を与えたと認定された現役の取締役6人について、春に事業再建計画を策定した後に辞任する、ともオリンパスは発表したのだ。これには疑問と不満の声が多い。

 例えば「東京新聞」(1月11日付朝刊、電子版)は、「会社に損害を与えた取締役の意向が再建計画に含まれれば、計画の正当性が問われかねない」と批判している。自分たちの経営を批判しなければならない再建計画を自分たちが作るのだから、自分たちに甘くなってしまうのは明白だろう。

 それを、あえてオリンパスはやろうとしている。横領した社員に横領防止案を作らせ、それが完成するまでは社員としての身分を保障する、と言っているようなものである。

 いくらオリンパスでも、そんなことはしないはずだ。横領した社員は即刻、懲戒免職にするだろうし、被害届を出して司直の手に渡すはずである。同じにやるべきだ。問題の質からすれば横領より悪質かもしれないのだから、厳しい処分をして然るべきである。

 それをやらないどころか、次の経営にも発言力を行使させるというのだ。批判されて当然である。

ホリエモンの時とはまったく違う政財界の反応

 にもかかわらず、いわゆる経済界や財界からは大きな批判が聞こえてこない。不思議なことだ。沈黙は肯定に他ならない。経済界も財界も、オリンパス経営陣の行為を認めているに等しい。

 これがオリンパスではなく、新興の企業だったらどうだろうか。例えば「ホリエモン」こと堀江貴文・元ライブドア社長の証券取引法違反については、厳しい批判は経済界からも財界からも聞かれた。