20日のNY市場はリスク回避の雰囲気が一服し、ユーロや資源国通貨は買い戻しが優勢となった。ロンドン時間からの流れを引継いだ格好で、スペイン債入札やIfo景況感指数の好調を材料に、ユーロのショートカバーを誘発した模様。また、この日発表になった米住宅指標が強い内容だったことも、その流れを加速させている。
商品先物取引委員会(CFTC)が発表していたIMMの投機筋の建て玉は12月13日時点でユーロの売り越しがユーロ導入以来で最大の水準に拡大する中、ショートポジションの積み上がりは警戒されていた。
スペイン債入札好調の背景に、明日のECBの3年物資金供給オペが指摘されている。もし、明日からの3年物資金供給オペが、市場の信用逼迫感を和らげるようであれば、ユーロは過剰にショートポジションが積み上がっていることもあり、ショートカバーが出やすい状況も考えられる。しかし、あくまでも根本的な解決には程遠く、自律反発の域は出ないだろうが。
ユーロドルはストップを巻き込んで1.31台まで上昇し、10日線の水準である1.3140/50水準を目指す動きも見られた。後半になって失速したものの、1.30台後半の水準は維持し底堅い推移を見せていた。
◆ポンドも堅調 ただ、上昇持続には障害も多そう
ポンドはユーロと伴に買い戻しが優勢となり、ポンド円は122円台まで一時上昇している。
ムーディーズは年次報告書で、英国の格付けはAAAで、見通しは安定的を再確認していた。キャメロン政権が先行して実施していた緊縮策の成果だろう。しかし、緊縮策の影響が景気を圧迫しているという面は否めない。ブロードベント英中銀委員は英国は景気後退に陥るリスクに直面していると述べ、ビーン副総裁も英中銀は一段の緩和策を導入する必要に迫られる恐れがあるとの見方を示していた。
英国は財政再建は進展しているものの、代償として景気抑制の狭間にある。ここに来て欧州危機への警戒感も加味し、市場の追加緩和期待は根強い。ユーロからの逃避的なポンド買いも指摘されてはいたが、やはり上昇持続には障害も多そうだ。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)