【お断り】JBpressのメールマガジン「Business Agenda」が2010年1~3月に連載した「私のメディア活用法」から抜粋し、編集したものです。

保井俊之・慶大大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授
私のメディア活用法(2)

 情報感度を高めるベースロードとして、新聞やインターネットメディアを活用している。あらゆる問題に対し、自分の感度を高めておくことに使う。

 メディアの活用法には、2つの軸がある。1つは複数のメディアを活用することで、情報に対する感覚を常に最新にしておくこと。2つ目は、自分が調べたい時に短時間でアクセスできるようにしておくこと。この2つの能力をいつも並行して磨いている。

 まず、新聞や複数のインターネットメディア、あるいはニュースレターを定期的に読む。そこからある事柄を専門的に知る必要が生じれば、1~2日間で深掘りして調べていく。

 ベースロードを高める方法は色々あるが、私の場合は毎朝、新聞を読みながらベースをつくる。昼はネット上で特定のブログやニュースレターを、必ず毎日同じ時間にチェックする。同じ時間に見ることで、自分のペースが生まれる。

 もし1週間後に情報を読むと、空白が作用してしまい、かえってインテリジェンスセンスが低下してしまう。昼なら昼と決め、定期的なベンチマークをつくる。それが私の日課になっている。

お薦めサイトは「溜池通信」「切込隊長」「牛さん熊さん」

 よく見るのは、エコノミスト系のサイトが多い。お薦めを挙げるなら、双日総合研究所の吉崎達彦氏による「溜池通信」や、山本一郎氏の「切込隊長BLOG」など。このほか、久保田博幸氏の「牛さん熊さんブログ」を読むと、国債をめぐる問題がよく分かる。鋭い観察力を持つ方々のブログやウェブを順々に見ていくと、自分の感性を高めることができる。

 雑誌は特段読んでいない。なぜなら「ダイヤモンド」や「ウェッジ」などは、ウェブサイトで読めるから。雑誌を購読する意味をあまり感じていない。

 新聞は生き残ると思う。ただし、2極分化が必要になる。

 1つは、あくまでも紙媒体にこだわっていくタイプ。読者が無意識のうちに読める「一覧性」をひたすら追求する。紙媒体は1秒間当たり、あるいは1分間当たりに入手可能な情報量がものすごく多いから、それを追求していく。いわば究極の紙面づくりを行う新聞が必要だろう。たくさんはいらないが・・・。一覧性さえ持っていれば、媒体は紙以外でもよいと思う。

 もう1つは通信社的というか、つまりニュースが起こる度に速報し、事実だけを知りたいという読者ニーズに応えるタイプ。これは紙媒体でなくてよい。

 テレビはあまり見ない。しかし例えば特定の分野に興味が湧き、何かを調べないといけない場合には見る。中国経済とかサブカルチャーとか、たまたまそれを取り上げている番組があれば見るし、あるいは録画する。