19日の東京市場は、北朝鮮の金総書記死亡との発表を受けてドル買いが広がった。序盤は欧州への懸念が注目された。週末にムーディーズはベルギー債格付けの2段階引き下げを発表した。また、フィッチはフランスのトリプルA格付けを維持したものの、見通しを安定的からネガティブに引き下げていた。週明けのオセアニア市場で豪株価指数が2%超の下落となった。きょうはフランス短期証券入札が日本時間23時に予定されており、結果に関心が集まっている、また、日本時間23時半には、ユーロ圏財務相らの電話会合も予定されている。欧州関連の不透明な動きが市場に懸念をもたらしている。ただ、この段階ではリスク回避の動きはあまり広がりをみせず、欧州待ちムードだった。

仲値発表後に、北朝鮮で特別放送がある、と報じられたことで市場には緊張感が走った。固唾を呑んで待ち構えた報道内容は、金正日総書記の死亡、だった。まず、隣国の韓国市場が反応し、韓国総合株価指数が約5%安と急落、韓国ウォンも1.5%超の下落となっている。為替市場では有事のドル買いの動きがみられた。豪ドル/ドルは0.9900近辺へと下押し、ドル円が一時78.16レベルへと急伸した。市場では東アジア地域での地政学リスクであることから円売り、との見方もあった。続いてユーロドルも1.29台後半へと軟化している。スイスフラン買いの動きもみられた。日本政府は迅速に反応しており、野田首相は急遽、予定を変更して安全保障会議を招集、情報収集と警戒に努めている。しかし、日経平均は後場の取引を100円超安で開始、アジア株全般に下落の動きが波及している。その後は、ロンドンなど海外勢の反応を見極めたいとのムードから動きは次第に落ち着いてきている。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)