16日のNY市場、欧州懸念は一服していたものの、ユーロはリバウンドが続かずに失速している。S&Pがユーロ圏の経済見通しについて、緊縮策の実施が財政的な成長支援の打ち切りを示しており、来年は厳しい経済情勢が予想されるとの見解を示したことも圧迫した。

また、後半になると、フィッチがイタリア、スペインを始めとした欧州の一部の国の格付け見通しをネガティブに変更したことなどもユーロを圧迫している。ユーロドルは瞬間1.30を割り込んだものの、フランスについてはAAA格付けを継続したことで1.30台は維持。

既に他の格付け会社が同様の変更を発表しており、内容自体にサプライズは無い。しかし、今週に入って毎日のように、きょうフランスは格下げが発表されるのではとの噂が流れ続けていたことから、やや安心感もあったのかもしれない。ただ、フランスの格付け見通しはネガティブに引き下げていた。この変更についてフィッチは、他のAAA国の中で最も危機に関するエクスポージャーが多く、政府債務増加のリスクが高いことを理由にあげている。向う2年間に格下げが実施される可能性は50%超ともしていた。

週末であることや、来週はクリスマスを控えた週でもあることから、調整の動きが中心で、全般に方向感が無くなっている様子も伺える。

◆豪ドル円 21日線ブレイクは確認できないが、下への圧力は強い
ユーロと伴に資源国通貨も軟調な動きを見せた。豪ドル円は78.00付近まで上昇していたものの、一時77円台前半まで伸び悩む動きも見られた。

豪ドル円はきょうも21日線に跳ね返された格好となっており、強固なレジスタンスに変化している模様。前日安値の77.00水準を下回らなかったことから、完全な21日線ブレイクは確認できないが、下への圧力が強い状況は続いている。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)