15日のNY市場は欧州債務懸念が一服し、ユーロや資源国通貨は買い戻しが優勢となった。スペイン債入札が好調だったことや、米経済指標が良好だったことがきっかけとなっていたようだが、本筋は値ごろ感からのショートカバーといったところだろう。

ユーロドルはロンドン時間に1.29台半ばまで下落していたが、準政府系やソブリン系の買いがサポートし、NY時間には1.3050近辺まで上昇していた。今週に入ってからの急ピッチな下げでテクニカル的に過熱感もあり、ショートカバーも入り易い局面ではあった。

しかし、買い戻しが一巡すると、次第にユーロの上値は重くなっている。格付け会社によるフランスの格下げも警戒される中、欧州危機を発端とした世界経済の先行きへの不透明感は増幅している。きょうも金や原油など商品市場は続落しており、投資家のリスク許容は依然として解消されることは無く、米投資家によるドル回帰の動きは続いているようだ。

◆ユーロスイス しばらくは1.22の水準を維持か
ユーロスイスは1.22台前半での推移となった。スイス中銀はユーロスイスの下限設定を現行の1.20に据え置いた。市場では1.25まで上昇させるとの期待も強かっただけに、きょうの決定はユーロスイスの失望売りを招いたようだ。

再びユーロスイスは1.20の下限に接近して行くのかというと、そうとも思えない。今回は変更しなかったものの、近いうちに変更があるとの期待感は根強い。欧州の一部にはマイナス成長も見込まれる中、ユーロが対スイスで上昇する局面は現状では想定し難く、欧州経済への依存度が強いスイスが、スイス高対策を緩めるとも考え難い。

ユーロスイスの現在の1.22の水準は、下限を引き上げるとの期待感が高まった直前の水準で、しばらくはこの水準での振幅が予想され、過度に1.20に接近する可能性は低いように思われる。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)