東京モーターショーが開催され、主催者の社団法人・自動車工業会の発表によれば12月2日から11日までの一般公開期間の中で84万2600人の入場者があったという。

 前回、2009年の同ショーは、言うまでもなく前年に出来したリーマン・ショックに始まる世界バブル崩壊の混乱の真っ只中。国内メーカーは年初にショーの予算や企画を組むのが恒例なのだが、それはまさに彼らがパニック的混乱に陥っていた時期であり、展示施設からしてコスト削減が露わに見てとれるような造りになり、展示スペースの縮小や海外勢の出展回避によってそこここに空きスペースが点在したこともあって、寒々としたショーになってしまっていた。

 1970年にそれまで別々に開催されていた国内勢と輸入車のショーが「合体」して以来、最も訴求力が希薄な東京モーターショーとして記憶されることになるのだろう。

 あれから2年あまり、会場を千葉・幕張メッセから東京・有明のビッグサイトに移して、東京モーターショーは「復活」したのだろうか?

「見るべきものがほとんどない・・・」

 出展者の数は前回の129から176に増えたとはいえ、その中にはEVの開発や生産にビジネスチャンスを期待する(そうした現実が生まれるとして、だが)各地の中小企業やベンチャーも多く、自動車とその産業の展示会としては、海外メーカー&ブランドのいくつかが「戻ってきた」だけにすぎない。最盛期には300を超える出展者がスペースを奪い合うように列をなしたものなのだが。

トヨタ、「トヨタ」ブランドの展示ブース。中央右手のピンクの枠は「どこでもドア」でその奥のメインステージ相当の場所には「ドラえもん」キャラクターの実寸大人形が並ぶ。「ReBORN」(再生)の意味は? 「クルマの楽しさ」はスポーツタイプを何台か、あとはハイブリッド系ばかりを並べることで「トヨタが生み出す自動車とその社会の明日」は表現できるのだろうか? (写真提供:日本自動車工業会)

 ビッグサイトに足を運んだ人々が1日あたりの平均で8万4000人ということは、さすがに前回の1日あたりで5万人を切るレベルからはだいぶ増えた。週末の来場者は10万人超、特に12月10日の土曜日の来場者は14万1000人を数えたという。

 都心からのアクセスが良い会場に移ったことも誘客には効果があったと思われる。それでも1日平均で見れば2007年とほぼ同等に戻った、というレベル。「クルマへの関心の復活」が楽観できる状況ではない。

 私ももちろん一般公開前の報道関係者招待日の2日間、足を運んだが、「見るべきものがほとんどない・・・」という思いに終始した。

 もちろん、どんな時にも「見るべきもの」は必ずあるのであって、最近はもっぱら部品関連のブースに私なりの「掘り出し物」が潜んでいる。それは今回も例外ではなかった。

 しかし自動車メーカーが配布する出展内容の資料をまったくもらわなかった自動車ショーというのも、学生時代から通してこれが初めてである。写真などの配布資料に関しては、今やインターネット上に内外のメーカーが展開する報道関係者向けウェブサイトで入手できる、という時代の変化はあるにしても。

 それほど私にとっては「つまらない」ショーだった。そう言わざるをえない。