9日のNY市場はEU首脳会議を受けてリスク選好の雰囲気が優勢となっている。結果が伝わった直後はユーロ売りが見られたが、米株に買い戻しが強まったことから資源国通貨を中心に強い動きが見られた。
ただ、資源国通貨と違ってユーロの上値は重い。EU首脳が発表した新財政協定は単年度の財政赤字をGDP比0.5%未満とする厳しい内容で、債務問題解決へ一歩前進といったところではある。全般的に満足とまでは行かないもののまずまずといったところだろう。しかし、厳しい再建策と同時に景気への影響も心配される。ビスコ・イタリア中銀総裁は政府の緊縮策によって2012年のイタリア経済はマイナス成長が見込まれるうえ、13年の成長についても限定的だろうと述べていた。財政再建策により金融市場の信頼が回復し、成長抑制が相殺される可能性も期待されるものの、目先は景気への影響も懸念され、積極的にユーロを買い戻す気にはなれない面もあるようだ。
ユーロドルは1.33台後半までの戻りに留まっている。一方、カナダ円は76円台回復、豪ドル円は79円台を回復し、21日線付近まで戻す動きとなった。
ドル円は相対的なドル売りの動きから77.50付近にじり安の展開。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)