9日の東京市場は、ユーロや豪ドルが軟調に推移している。注目されたEU首脳会議、第一日目の協議は東京午後になってようやく終了している。事前にEU条約改正がEU27カ国では実施されず、ユーロ圏17カ国と参加表明国に限定されると報じられたことで、ユーロ売りの動きがみられた。また、独仏首脳やEU大統領から、ユーロ圏共同債やEMSへの銀行免許付与について合意されず、と発表されたが、ユーロ圏共同債については今後も協議を続けるとしている。さらに、新条約は政府間の合意となると発表されており、EU全体での合意作業よりも迅速化する、としている。EU全体の条約改正に至らなかった点については、英国の困難な要求があったため、と独仏首脳から発表された。英首相は、提案内容は英国の国営に沿わない、と述べている。ただ、事前に想定された通り、財政統合に関する自動的な制裁発動については合意された。仏大統領は、新ユーロ圏条約は9日に法的詳細を協議と述べており、ほぼきょうの会議で大枠は明らかにされたことになる。
ユーロドルは1.33台後半から前半へ、ユーロ円は103円台後半から半ばへと下押し。また、豪ドルなどリスクに敏感な資源国通貨も売られており、豪ドル円は79円近辺から一時78円台前半へ、カナダ円も76円近辺から75円台後半へと下押しし、前日安値を下回った。パニック的な動きにはなっていないが、日経平均が100円超の下落となるなど、全般的なムードは引き続き前日からのリスク回避ムードを引きずっている。ドル円は77.56-77.73での狭いレンジ取引になっている。
◆中国の消費者物価指数は伸び鈍化
日本時間10時半に発表された11月の中国消費者物価指数は前年比4.2%と10月5.5%や市場予想4.5%から下振れた。同時刻に発表された11月生産者物価指数も前年比2.7%と10月5.0%や市場予想3.4%を下回った。先週は中国が預金準備率の引き下げを発表して市場を驚かせたが、物価指標の落ち着きを背景に、今後利下げなど金融緩和モードに転じるとの見方も広がっている。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)