中国預金準備率の引き下げや、各国中銀によるドルスワップ協定の金利引き下げでリスク選好のムードが強まり、ユーロや資源国通貨は買いが強まった。

欧州債務危機による欧州銀の信用度の悪化で、銀行間の短期金融市場でドルの調達金利が上昇しており、各国中銀は年末に向けて対応策を打ち出したようだ。

発表後、ユーロドルは一時1.3530近辺まで上昇したが、NY株式市場でダウ平均が480ドル急伸したことを考慮すれば、ユーロの上昇は鈍く、じりじりと上げ幅を縮小する動きが見られている。

今回の発表で欧州銀のドル資金調達圧力は緩和される可能性はあるものの、欧州債務問題自体の包括的な解決の道筋は一向に見えない状況。前日から開催されているユーロ財務相会合でも、EFSFのレバレッジ導入による規模拡大は当初見込みの1兆ユーロを下回り、7500億ユーロ程度となりそうだ。また、ECBの役割強化については、ECBによる大量の国債購入にはドイツの反対が強いなど、イタリアとスペイン債の担保を示すことができない状況。IMFを通じたECBの資金提供の案もIMFは観測を否定している。市場の懸念は一向に解消されず、絶好の売り場との指摘も出ていた。

欧州債務危機を発端とした欧州銀の信用度低下で、短期金融市場でのドル金利は上昇が続いていた。為替市場でのドル買いの一因ともなっていたが、今回の発表でドルの短期金利上昇傾向が緩むとの期待からドル円は売りが強まったが、一方でリスク選好の雰囲気が強まったことから、円安の動きも見られ下値はサポートされている。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)