29日のNY市場はユーロや資源国通貨の売りが優勢となった。ロンドン時間に実施されたイタリア債の入札は無事通過し、ユーロは強含む場面も見られたものの、戻り売りも根強く、ユーロは押し戻されていた。その流れを引き継ぎNY時間もユーロは上値が重い展開となっている。

ユーロ圏財務相会合が開かれ、IMFを通じてECBからイタリアやスペインに融資する案も協議されたようだ。また、ギリシャへの第6弾融資も承認されたが、ユーロの反応は鈍い。EFSFのレバレッジ拡大も当初の見込みよりも拡大できないとの見解も出る中、この先のイタリアやスペインの国債の借り換えに対する不安感は払拭できないようだ。デヤーヘル・オランダ財務相はEFSFのレバレッジは2.5倍程度までしか拡大できない可能性を示していた。

ユーロドルは1.3440近辺から1.3300付近まで一時下落。104円台を回復していたユーロ円も103円台に値を落としている。

◆ドル円 底堅さ続く 米国債投資の為替ヘッジ外しも指摘される
ドル円は78円台での抵抗感は依然として強いが、一方で底堅さも見られている。相対的なドル買いの動きがサポートしていることが主因だが、一方で米国債投資の為替ヘッジ外しの動きも一部指摘されている。

為替ヘッジ外しの背景にはドル短期金利の上昇継続と米国債利回りの低下があげられる。ドルの短期金利上昇については、欧州債務問題の悪化で、欧州を始めとした金融機関への信用度が低下しており、これらのドル調達コストが上昇していることが原因。銀行間市場の3ヵ月物金利(LIBOR)は一本調子の上昇が続いるが、きょうは0.52%まで到達した。これにより為替のヘッジコスト(FXの売りスワップに相当)である日米の短期金利差は拡大傾向にあり、ドルの売りヘッジのコストが膨らむ。これに対して運用先の米国債利回りは低下が続いており、為替ヘッジを入れた場合の米国債のリターンと日本国債のリターンの格差にさほど妙味が無くなっているのかもしれない。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)