28日のロンドン市場は、欧州株が大幅高となるなどリスク回避ムードが後退した。ユーロや資源国通貨が東京市場から一段と買われている。東京朝方にイタリア紙が報じたIMFのイタリアへの支援報道は、当のIMFによって否定されたが、市場の好ムードに変化はみられなかった。また、この日はベルギー債入札にも注目が集まっていたが、市場はそれに先行する形でリスク選好の動きを強めている。ユーロドルは一時1.3399レベルと1.34台に迫った。ユーロ円も一時104円台乗せへと上伸した。独仏株価指数が3%超の上昇となる動きに、リスクに敏感な資源国通貨も上昇している。豪ドル円は77円台乗せ、カナダ円も75円台乗せとなり、この日の高値を伸ばしている。市場では、独仏首脳会談による打開策への期待、あすのユーログループ会合などでのEFSF実施の具体策に期待を寄せる向きもあった。予想外にドイツGFK消費者信頼感調査が強かったこともユーロ相場の下支えとなったようだ。
◆ベルギー債入札では利回りが上昇
注目の欧州債動向だが、ポルトガル債の対ドイツ債利回り格差がユーロ導入来の最高水準になるなど、不透明感は継続している。ただ、このところ上昇が著しかったイタリア債の動きは一服している。S&Pによる格下げで注目されたベルギー債入札では20億ユーロの当初目標額を調達できたが、利回りは5%台へと大幅に上昇しており、同国の財政状況にとっては圧迫材料だった。イタリア・インフレ連動債入札での利回りも7%台と高水準だった。欧州債全般の利回り水準は高止まりしており、ユーロ買い一巡後は再び売りに押されてきている。OECDの経済見通しでは、各地域の成長率予想が下方修正されている。欧州危機が最大の懸念材料と指摘されていた。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)