今週は大ヒット記事が生まれた。ランキング1位の『喧嘩上等のカメラ店が「ど素人」に教わった商売の極意』である。
11月22日(火)に公開した後、祝日の23日をはさんだ3日間のページビューは、既に11月の月間ランキングでもトップ。2位に2倍以上の差をつけている。
この記事で取り上げたのは、栃木県のカメラ販売チェーン店、サトーカメラ。サトーカメラのカメラ販売シェアは、14年連続で栃木県ナンバーワン。デジタル一眼レフカメラの販売シェアは県内で60%以上という驚異的な営業成績を誇っている。
しかも北関東は多くの大手家電量販店が発祥した激戦区である。
このサトーカメラが、並み居る強豪家電量販店との激闘の末に見出した商売の極意は、「効率を求めないこと」だという。それでも利益率は上昇し、価格が量販店より高くてもリピーターになるお客が多い。
ツイッターやはてなブックマークで、この記事に対するコメントを見ると、「学ぶことが多い」「商売の本質が分かる」という意見、あるいは「いい話だ」や「泣ける」といった感想が目立つ。
この記事がここまで読者の関心を集め、共感を得た背景には、「効率疲れ」があるように思う。「効率」の尺度に合わないものは切り捨てられ、コストを削減し、価格競争に明け暮れるだけでは、企業も社員も疲弊する一方だ。サービスを受ける方も、マニュアル接客にはない人間味が恋しくなっているのかもしれない。
しかし、取材に応じてくれたサトーカメラ専務の「現場に徹底したのは、効率は考えないでいいから、お客が納得するまで話をしろ」という言葉の実践から生まれたものは、売る側の矜持と買った側の感謝だ。
サトーカメラは、とことんお客と話をすることで、自分たちが「何のためにこの商売をやっているのか」を見出した。それが分かれば、誰に、何を、どう売ればいいのかが自ずと明らかになるのではないだろうか。
逆に「何のために」を置き去りにしてしまうと、オリンパスのように、社員も、顧客も、株主も落胆させる結果になるのだろう。