巷は早くも夏のバカンスの話題。こういうのを聞くと、フランス人というのは本当によく休むものだと思う。学校の休暇を例に取れば、7~8月がまるまる2カ月間休みになるのを筆頭に、2月から3月にかけての2週間、4月のイースターの2週間、10月から11月にかけての万世節に10日間、クリスマスから年末の2週間と、年間を通してこれだけの長期休暇がある。

5週間の有休休暇はきっちり消化するフランス人

「ツーリズムワールド」フェアの様子。 こちらのマダムはアイルランドのブースの方

 大人はさすがにそれほどではなく、5週間の有給休暇が建前。

 「建前」というと、日本の感覚では「建前」として保障されていても、実際にはそれほどまでは取らないという文脈になるのだろうけれど、こちらでは、少なくとも私の周囲の状況を見る限りにおいては、人々は「建前」よりももっと多く休んでいるような印象を受ける。

 仕事のアポイントを取ろうとコンタクトをしても、「今週1週間は不在」という、自動返信メールが届くことがしばしば。しかもその理由は、外国出張などではなく、バカンスであることが多い。

 では、彼らはいつ仕事をしているのか、いったいこれで国は回っていくのかというテーマはまた別の機会に譲るとして、今回のお題は旅の話。バカンスの使い道についてである。

 この週末にかかる4日間、パリで「ツーリズムワールド」という見本市が開催されていた。それと前後して、ツーリズム関連の記事がいつもより多めにメディアをにぎわしていた。例えば、日刊紙「ル・フィガロ」の3月19日付の紙面には、「この夏、より多くのフランス人がバカンスに旅立つ」という見出しが躍る。

今夏の旅行は昨年比7%増が見込まれる

ひときわ大きく立派だった中国ブース

 内容はと言えば、夏のバカンスのために既に海外旅行を予約している人が、昨年の同時期に比べて7%増になっているという旅行関連の調査機関の数字から始まる。

 さらに、ある代理店の動きとしては、既に今年に入ってから、前年比10%増の予約状況で、昨年苦戦した長距離路線、とくにアジア方面への数字が2008年のレベルまで回復してきたそうである。

 ところが、18日付の日刊紙「ル・モンド」の記事は、楽観的な前者とはちょっとポジションが異なる。というのも、ある旅行代理店の統計をもとにすれば、旅行するフランス人の数は6年連続して減り続けているという報告。

 割合としては、2003年に64%だったのが、2009年には56%まで下がっている。さらに、職業別に見ると、商業従事者、アルチザン(職人)、次いで年金生活者の落ち込みが目立つ一方で、いわゆるサラリーマンはほぼ横ばい。