22日のNY市場は方向感のない展開が続いた。ユーロドルは1.3500を挟んでの動き、ドル円は77.00を挟んでの振幅となっている。朝方発表になった米GDP改定値が予想以上に下方修正されたことで、ユーロ売り・ドル買いが強まった。しかし、下押す力も乏しい中、IMFが欧州債務危機波及の予防のため、6ヵ月間の短期流動性を供給する新たな融資制度の新設を発表したことから急速に戻る展開も見られたが、ユーロドルは10日線が控える水準で抑えられている。
債務懸念は依然として根強い一方で、ユーロのショートポジション解消の動きもあり、次第に収束感を強めつつ、次のアクション待ちといった雰囲気も出て来た。
オバマ米大統領が議会に年内で期限切れが到来する給与税減税措置延長の承認を急ぐよう要請していたが、これを巡っても与野党間で対立が激化しており、動向が注目されそうだ。
米GDPは前期比+2.5%から+2.0%への下方修正されていた。個人消費や企業の設備投資の下げの他、大きな要因として在庫投資がマイナスに下方修正されたことが大きい。速報の段階でも在庫投資は第2四半期に比べ、かなりの減少となっていたが、改定は更に減らしてマイナスに落ち込んでおり、企業が売上以上に生産を減らしていたことが示されている。ただ、マイナスの投資在庫は必ず戻ることから、ポジティブに捉えれば、第4四半期には大きなプラスに寄与する可能性も秘めているとも言える。
また、午後にFOMC議事録が発表された。解禁破りが発生した模様で、30分程度早く発表になっている。一部メンバーから見通しが追加緩和を正当化する可能性があるとの主張が出ていたようだが、ほぼ想定内容でサプライズは無く、反応は限定的となっている。直近のデータはリセッションまでは示唆していないが、大きな下振れリスクの存在を指摘している。ただ、これも想定範囲内の内容ではあった。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)