ケチャップはホットドッグやハンバーガーには欠かせない調味料だが、実はあの酸味や香辛料がちょっとばかり苦手。そんな私が、初めておいしいと思ったケチャップがある。友人からおみやげにいただいた「明宝トマトケチャップ」だ。

 瓶に入ったこのトマトケチャップは、トマトを潰した感じがそのまま残っていて、トロトロとした滑らかなトマトケチャップとは全くの別物に見える。

 味は酸味が少なく、でもホールトマト缶やトマトピューレよりも濃厚。おいしいトマトの風味をそのまま閉じ込めたような自然な風味は、まさに「大人のトマトケチャップ」と言える味わいだった。

 卵料理はもちろん、パスタソースや煮込み料理に使うと、ぐーんと味がよくなる。

 でも、一番のオススメは、スプーンですくってそのまま食べること。完熟トマトの旨みは、野菜やバケットにつけるとますます生きてくる。

 「かけて食べる」ものだったケチャップが「そのまま食べる」ケチャップに。ケチャップのイメージを覆される一品だ。

農家のお嫁さんグループが手作りケチャップに挑戦

「明宝トマトケチャップ」 300グラム入りで580円(税込み)

 明宝トマトケチャップを作っているのは、岐阜県郡上市にある「明宝レディース」という、その名の通り女性ばかりの会社だ。

 元々は農家のお嫁さん7人が、地元岐阜産の「桃太郎」という品種のトマトを使ってすべて手作りでケチャップを作ったのが始まりだった。

 トマト栽培が盛んだった明宝村(当時)では、形が悪かったり、ちょっと傷があったり、市場に出荷できない規格外のトマトがたくさんあった。それを何とか利用できないかと試行錯誤の末に生まれたのが、このトマトケチャップだったという。

 ただ、トマトケチャップを作ろうとは思い立ったものの、農家のお嫁さんたちは作り方が分からない。まずは身近にあった大手のケチャップの味を目指し、メーカーに作り方を聞きに行ったという。