18日のロンドン市場は、全般にドル売りが優勢になっている。この日は欧州債入札などのイベントに乏しく、欧州債や欧州株動向をにらみながらの展開になっている。引き続き欧州債務懸念は根強いが、ECBのイタリア債やスペイン債購入の動きで一段安の動きは落ち着いた。欧州株は軟調に始まったががユーロ売り反応は強まっていない。

むしろ、ドルスイスの下落をきっかけにドル安が優勢になった。ドルスイスは0.92近辺から断続的に売りが入り、0.91割れまで下落した。スイスフランの上限引き下げへの思惑でスイス売りポジションが蓄積しており、投げを誘ったとの見方がでていた。ユーロドルはショートカバーを誘って1.36台乗せへと上昇。今週、ユーロドルは1.34台半ばでは買いが強まる場面が多く、オプションのガンマプレーやこれまでのユーロ売りへの利益確定の動きなどの思惑もでている。日本時間21時に発表されたカナダ消費者物価指数が予想を上回った事でカナダ買いが強まった事もドル売りを助長した。ドルカナダは1.02レベルと、東京市場の高値水準からは約100ポイント下落している。ただ、全般には特筆するようなドル売り材料はなく、週末を控えたドル買いポジションの調整との見方が多い。

そのような動きのなかで、ドル円は77円近辺での膠着相場から下値を試す展開となった。一時76.58レベルと10月31日の介入後の最安値を更新した。市場では値動きが停滞すると覆面介入との思惑が広がることが多いが、短期筋がドル買いポジションを膨らませると、それが下落を誘うパターンが続いているようだ。欧州株は次第に下げを消しているが、ドル円の戻りは鈍い。リスク回避の円高でもなさそうだ。

◆ドラギECB総裁、EFSF改革は早急に実施すべき
この日はECB高官による発言が相次いだ。就任からまだ日が浅く、その発言が注目されるドラギ総裁は、ユーロ圏景気への下向きリスクが拡大、成長の弱まりでインフレは鈍化する、との慎重な見方を示している。そのなかで、EFSF改革は早急に実施すべき、との点を強調していた。また、バイトマン・ドイツ連銀総裁は、ECBが危機解決の責任を負うべきではない、と述べている。ゴンザレスパラモ専務理事も、ECBはその使命を超えることはできない、と述べており、政治家からの欧州債購入拡大の圧力をかわしていた。昨日は、メルケル首相が、政治家がECBに期待をかけ過ぎた点を素直に指摘しており、景気回復は金融政策だけでは困難との見方を明確にしていた。パラモ専務理事は、欧州危機の解決は政治に委ねられている、と一矢報いている。ECBにとっては、物価の安定によって成長を下支えすることが一番の使命であろう。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)