16日のロンドン市場は、ユーロが神経質に上下動する展開になっている。序盤はイタリア債の下げが一服、10年債利回りが6%台に低下する動きに欧州株も上昇。ユーロ買いが強まった。ユーロドルは1.34台前半から1.35台半ばまで、ユーロ円は103円台半ばから104円台前半まで上昇し、東京市場での下げを消す動きとなった。この日はECBがイタリア債に加えてスペイン債も購入したと報じられている。また、この日実施されたポルトガル短期債入札が無難に消化されたことも安心感を誘ったようだ。
しかし、この動きは長続きしなかった。英中銀インフレ報告では、インフレおよび成長見通しが引き下げられている。その要因としては欧州債務危機への対応が不十分である点が強調されていた。さらに、イタリア最大手銀行のウニクレディトがECBに資金調達のための担保範囲の拡大を求めている、との一部報道も不透明感を誘った。ユーロが売られて、ユーロドルは1.3450台、ユーロ円は103.50近辺まで下落した。イタリア10年債利回りも再び7%台に乗せ、欧州株は下げに転じた。その後はやや動きが落ち着いているが、今週の流れから見るとユーロはまだ安値圏での取引が続いている。イタリアのモンティ氏が首相指名を受諾、財務相を兼任すると発表したが、目立った反応はみられていない。その他主要通貨は欧州株・イタリア債動向、ユーロ相場などに追随して神経質に動いている。ドル円は一時76.85レベルまで下押し。戻りも77円台を回復できずに推移している。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)