14日のNY市場はロンドン時間の流れを引き継いでユーロや資源国通貨が売られている。イタリア債が下落していた他に、きょうはスペインやフランスの国債も軟調に推移していた。信用懸念が強まって来ている模様で、CDS市場で両国の債務保証コストは過去最高に上昇している。この様な中、メルケル独首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が、旧東ドイツの都市で大会を開いており、ユーロ圏からの自主的離脱を認める動議を採択していたことでユーロ売りが強まる場面も見られた。ユーロドルは瞬間1.35台に下落ている。

また、EU筋からEFSFのレバレッジ計画の詳細決定は年内の期限に間に合わない可能性や、ショイブレ独財務相も言及していたが、欧州安定化メカニズム(ESM)は2013年よりも前倒しにはならない可能性も指摘されている。

背景にはギリシャ、イタリアの新政権への不安感もあるようだ。パパデモス、モンティ両新首相が動き始めているが、両者とも著名な経済学者ではあるが、政治家としての手腕は未知数。モンティ首相は政治家ではあるが終身上院議員(昔の元老院)で選挙の経験はない。パパデモス首相も政治経験は皆無に等しく、国民に多大な犠牲を強いるだけの力量にやや不安感は否めない。

その他、先週はイタリア債下落から、ECBの国債大量購入観測も出ていたが、今日発表になっていた週報では、11日までの週の国債購入額は44.78億ユーロと、前週(95.2億ユーロ)の半分以下に留まっている。上記、EFSF、ESMへの不安感も出ている中、ECBの思い切ったサポートを求める声もあるようだが、どうもECBは重い腰をあげようとはしていないようだ。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)