2010年2月21日、長崎県知事選で自民、公明両党が支援した無所属新人候補が民主党など与党推薦候補を破り、当選した。

 首相・鳩山由紀夫と民主党幹事長・小沢一郎の「政治とカネ」の問題が選挙に大きな影響を与えたことは、まぎれもない事実で、鳩山政権が受けた打撃は深刻だ。地方の首長選とはいえ、選挙結果は「鳩山・小沢体制」に対する世論の不信感の表れであり、民主党内には参院選への危機感も広がっている。今後「鳩山・小沢体制で参院選は戦えない」との声が広がるかどうか。いずれ小沢の進退問題は再燃しよう。(敬称略)

鳩山内閣にボディブロー

 当初、長崎県知事選は与党・民主党に楽勝ムードがあった。

 2009年夏の衆院選で、民主党は長崎県の全4選挙区で勝利。中でも、衆院長崎2区で自民党の元防衛相・久間章生を破った民主党新人・福田衣里子は政権交代の象徴的存在だった。福田が花束を受け取って喜ぶ写真は、衆院選後の民主党広報誌の1面トップを飾ったほどだ。参院選も前回、前々回と民主党が議席を獲得し、長崎は民主が議席を独占する民主王国だった。

ボディーブローが効いてきた・・・

 逆に、2009年末までは、自民党に「敗北ムード」が漂っていた。それもこれまでの選挙情勢を考えればやむを得ないところだろう。当時、長崎県知事選の応援を頼まれた自民党議員の1人は「大島理森幹事長は負けを覚悟しながら応援を頼んできた。地方の選挙はどうなるか分からないのに、党執行部はだらしがない」と不満を漏らした。

 ところが、年が明け、1月18日の通常国会開幕後、流れは変わり始めた。

 鳩山の偽装献金事件や、小沢の資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる政治資金規正法違反事件の追及が始まったのだ。野党慣れしていない自民党の追及は甘く、繰り出すパンチは鈍かったものの、鳩山はしつこいボディーブローに、防戦一方となった。

石川議員が民主党から離党

元秘書の起訴で小沢には道義的責任が問われたが、鳩山の了解を取りつけて幹事長を続投〔AFPBB News

 「陸山会」事件では、2月4日に小沢は不起訴となったが、衆院議員の石川知裕をはじめとする元秘書ら3人は起訴された。小沢の政治的、道義的責任が問題になり、一時は幹事長辞任論も相次いだが、小沢は鳩山の了解を取りつけ、幹事長を続投。

 小沢に「けじめ」を求める世論が強まる中での続投は、結果として民主党にはマイナスとなり、「小沢支配」下で「小沢に逆らえない鳩山」のイメージが増幅されたようだ。