4日のNY市場、ユーロは売り優勢となった。この日発表になった米雇用統計はまずまずの内容となったものの、反応は一時的で、市場の関心は欧州に注がれている。メルケル独首相がG20諸国からEFSFへの参加意向はほとんど示されなかったとの発言もあり、警戒感が再び強まった。G20首脳会談で、IMFの資本増強に合意を形成できなかったことも、警戒感を誘発している。
ギリシャに関しては国民投票は回避されたものの、パパンドレウ内閣の信任投票が控えており、予断は許さない状況が続いている。地元メディアはパパンドレウ首相はベニゼロス財務相を首相に指名するよう提案すると伝えていた。ベニゼロス財務相は内閣を信任する代わりとして、パパンドレウ首相の辞任を求め、与党である全社会主義党の取りまとめに奔走している。可能性は高そうだが、いずれにしろ蓋を空けてみなければ判らない情勢だ。NY時間には信任投票に向けた審議を行っている最中で、投票は現地時間の深夜、日本時間の昼くらいには、結果が判明すると思われる。
ユーロドルは一時1.37台前半まで下落。後半になって下げ渋ったものの、1.38台は回復できずに失速した。一方、ドル円は小幅ながらもドル買いにサポートされ78.25付近まで上昇したが、ポイントとなっている78.50の水準を試す動きまでは見られなかった。
◆期待は根強いが、年内の米追加緩和は無しか
きょうの米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)は8万人増となり、市場予想は下回ったものの、前回値がそれ以上に上方修正されている。失業率も9.0%と1ポイントではあるが改善した。ロイター通信の調査ではディーラー19社のうち11社がMBS購入など追加緩和を見込んでおり、市場の追加緩和期待は依然として根強い。きょうの数字は決して雇用回復の兆しが伺える内容ではないが、少なくともFRBによる年内の追加緩和に関しては無さそうな気配ではある。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)