インターネットに残された足跡を辿れば、属性データを取得しなくても、その関連情報を提供できることに気づいた人がいた。それを広告と呼ぶのか、呼ばないのかは、もはや論点ではない。ユーザーにとっては、面白い情報であれば、それが広告であろうとコンテンツであろうと関係ないのだから。
今回の「ad:tech tokyo(2011年10月26-28日開催)」は、最新のテクノロジーが普及段階に入ったときに、いかにユーザーフレンドリーなサービスを開発できるかという視点で参加した。
米国のアドテクノロジー領域では、すでにアドテクノロジーとは何か? という“XWhat”の議論は終了し、“How”の議論に移行している(アドテクノロジーについては、1年前に本コラムに書いた「新時代に突入した広告」(2010年12月9日)や、新著『明日のメディア』を参照してほしい)。
スマートフォンの普及と、モバイルブロードバンドの整備で、リアルな位置情報を含めたパーソナルな行動履歴のデータベース化が進み、それに基づく配信情報の精確さも増すという未来は誰もが共有している。
その未来に向けて、我々は今データ分析の手法など職人的なノウハウを競うステージにいる。RTB(Real Time Bidding)やアドエクスチェンジといったサービスは、こうしたデータの分析とリアルタイム性を実現するためのツールだ。
ユーザーフレンドリーなテクノロジーとは
そういった意味で、猪子久寿氏(チームラボ社長)の次の言葉は、インターネットサービスの普及期を迎えているサービス提供側にとって、重要な示唆を与えてくれた。
「人間が自然にしてしまう行為をインターフェースにしたサービスを開発している」(ad:tech tokyo 2011年10月28日のセッションより)
彼は、その事例として、ハンガーにかかった服を手に取るとお店のディスプレイが変化する仕組みや、コースターをいじるとテーブルのイメージが変わる仕組み、落ちてきたボールを手で触ると色が変化する仕組みを紹介していた。