上海株式市場の株価指数は2007年に6000ポイントに達してからピークアウトし、現在2900~3000ポイントで推移している。
中国経済はGDP伸び率が8~10%の成長を続けており、ファンダメンタルズは悪くない。それにもかかわらず株式市況が不振に陥るのはなぜだろうか。
2010年、中国のドル建てGDPは日本を追い抜いて世界2位になると見られ、日本では中国経済の牽引力が注目されている。機関投資家も個人投資家も、中国の株式に投資する熱がにわかに高まっているようだ。
しかし、中国の株価動向は不透明なうえ、ランダムに変動する傾向が強い。オーソドックスな経済理論では、中国の株式市場の動きを説明できない点が多い。
内外の投資家にとり、中国での株式投資はまるで焼き上げたサツマイモのようなもので、性急に手に取ろうとすると、火傷してしまう恐れがある。
企業の資金調達の場として機能しない株式市場
2010年は、中国の株式市場が設立されて20周年の記念すべき年である。欧米や日本の株式市場に比べ、中国の株式市場の歴史は浅く、まるで生まれたばかりの赤ちゃんのようなものである。取引されている金融商品が少ないうえ、金融監督も決して十分とは言えない。
中国の株式市場はこれまでの20年間の歩みを振り返れば、その株価の動きが示す通り、紆余曲折に満ちた20年だった。
そもそも中国の株式市場の発展を不安定化させる大きな要因として、政府が株式市場を国有企業の資金調達の場と位置づけたことと、政府が恣意的に市場に介入することが挙げられる。
具体的に言うと、株式上場が認められている企業の9割は国有企業であり、実際に株式が公開され取引されているのは、全体の3分の1程度に限定されていた。
その結果、投資家にとって株を長期保有するインセンティブが働かず、ちょっとした値動きで売買が集中する。国務院発展研究センターの研究員である呉敬蓮氏は「現在の株式市場はまるで賭博場である」と述べた。決して間違った指摘ではない。
本来ならば、中国のような貯蓄率の高い国では、家計の貯蓄のかなりの部分は株式市場を中心とする直接金融市場を通じて、企業に仲介されるべきである。だが、政府による市場介入と上場企業の不十分な情報開示などを背景に、株式市場は投資家から十分な信頼を得ていない。