2月1日、ロシア国家統計庁は2009年のGDP(国内総生産)速報値を公表した。それによれば、2009年の同国GDP実質成長率は、前年比でマイナス7.9%となった。
2009年GDP成長率はマイナス7.9%、プラス部門は2つだけ
内訳を見ると、建設業の落ち込みが最も大きく、マイナス16.4%を記録している。以下、ホテル・レストラン業がマイナス15.4%、製造業がマイナス13.9%などとなっている(図表1参照)。一方、プラス成長となった部門はわずかに2部門だけであった(行政・国防・強制社会保険と保健・社会サービス)。
このように、「リーマン・ショック」を契機とする世界的な景気後退の影響を受けて2009年に大幅なマイナス成長に陥ったロシア経済であるが、1月28日付本欄の大坪祐介氏による論考「低迷中のロシア経済が、今年は急回復に向かう」でも指摘されているように、ロシア経済が今年(2010年)に景気回復へ向かうという見方が、エコノミストの間で共有されつつある。
ロシア著名エコノミストの来日
このように、ロシア経済の先行きについて楽観的な見方が目立つようになる中で、先週末(1月30日)、ロシアにおける著名なエコノミストであるエフゲニー・ガブリレンコフ氏(トロイカ・ディアローグ社チーフエコノミスト=英エコノミスト誌の関連記事はこちら)が、一橋大学経済研究所ロシア研究センター主催のワークショップにおける基調講演のために来日し、ロシアのマクロ経済の見通しについてプレゼンテーションを行った。
そこで本稿では、ガブリレンコフ氏による上記講演の内容を紹介しつつ、ロシアのマクロ経済状況を見ていくことにしたい。