お屠蘇気分もさめやらぬ、年初1月4日のブルームバーグにロシアビジネス関係者が手を叩いて喜びそうな記事が流れた。 「Goldman’s O’Neill Favors Russia Stocks Most in ‘BRIC’」と題された記事である。
BRICsの産みの親が今年はロシアの年と予測
要約すれば、ゴールドマン・サックスのエコノミストであるジム・オニール氏が2010年はこの4カ国の株式市場ではロシアが最も有望であると述べたのである。
その根拠は強含みで推移する原油価格と、当面は継続されると見られるロシア金融当局の金融緩和スタンスであるという。 同氏は2001年に「BRICs」という言葉を生み出したことで有名である。
ではモスクワの市場関係者がわれ先にロシア株買いに動いたかというと、ロシアは今年も長い冬休みの真っ最中、金融市場も10日まで休場である。
代表的なロシア銘柄はADR・GDRとして海外市場(ロンドン、ニューヨーク)でも売買できるが、多くのロシア市場関係者はロシア正教のクリスマス(7日)を前に、それどころではなかったのだろう。
そして休み明けの11日、ロシアRTS市場は前年末比プラス7.5%と好調な本年度のスタートを切った。 他方、わが国に目を転じると、翌12日の新聞広告には国内大手証券会社が売り出した投資信託の片面広告が掲載されていた。
日本では逆にBRICsから「ロシア外し」
「印伯中xxxxファンド」、つまりBRICsから「ロシア外し」である。 残念なことに日本国内ではロシアは投資対象として忘れ去られた感がある。
しかし、世界中の投資家がロシアのことを忘れてしまったのかというと、決してそういうわけではない。 先頃発表されたゴールドマン・サックスのリサーチペーパーのタイトルを見て筆者は思わず目を疑った。
“2010 - the year of Russia” (「2010年はロシアの年」)
冒頭のオニール氏の発言もこれらのリサーチを根拠になされたものであろうが、ロシアに関してはこれまで常に保守的、いや悲観的とも言える見方を取ることが多かった同社がここに来て大きく舵を切ったことは注目に値しよう。