21日のロンドン市場でユーロは一時下押ししたものの、反発に転じている。市場の焦点が来週のEU首脳会議に向かっている中、短期筋中心の値動きでユーロドルは1.3705近辺まで売られたが、1.37を割り込むことが出来なかったことから買い戻しが入っている。欧州株式市場では首脳会議への期待があり、各指数とも上昇しているという。ポンドドルが9月9日以来の高値を上伸していることもユーロドルをサポートした。市場関係者の間ではイタリア10年物国債利回りが8月上旬以来の6%台に上昇したことで(価格は下落)、ECBはイタリア債の購入に踏み切ったとの観測が出ている。

特段、リスク選好となる材料は聞かれないが、要人や格付け会社の発言は続いている。格付け会社フィッチの幹部は、フランスの格付け引き下げの計画はないとの見解を示した。一方、S&Pは景気後退に陥り政府借り入れが増加すればフランス、スペイン、イタリア、アイルランド、ポルトガルの格付けを引き下げる可能性があると指摘している。
ドイツ政府筋は、詳細で合意が得られていないためEU首脳会議は23日と26日の二段階で行われ、最終決定は26日になされるとした。また、首脳会議を控えて独仏間に深刻な意見の対立はないと述べた。そしてドイツ国内では、25日にEFSFのレバレッジの詳細について政党間の協議が行われる可能性があるとした。
ノボトニー・オーストリア中銀総裁はブルームバーグで、世界的に景気が低迷しており、ECBは金利水準を協議する際にこうした傾向を考慮する必要があると述べた。そして今月6日のECB理事会では、利下げについても協議したが、流動性対策を重視すべきと判断したとした。

Klugアナリスト 鈴木信秀