11月中旬、都内のホテルに出版各社の関係者数百名が集まった。この会合は、日本雑誌協会が開いた「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」(議長:大久保徹也集英社役員待遇・雑誌販売部長)の総会。雑誌を出版する同業他社が手を組み、雑誌のデジタル配信に乗り出すことが決まった。(文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解です)
低迷する雑誌販売
日本の雑誌売上総額は1997年の1兆5600億円をピークに下落傾向が続き、2008年には1兆1300億円。97年に比べて3割近い落ち込みだ。
こうした雑誌市場の急速な縮小の原因として、まず書店数の減少が挙げられる。日本書店連盟加盟の書店数は、96年には1万店を超えていたが、2008年には5600店と半分近くまで減少。「町の本屋さん」がなくなり、市街地や郊外の大型書店のみが生き残っているため、普通に生活していて雑誌と接触する機会が圧倒的に少なくなっている。
雑誌販売といえばコンビニ。コンビニがある以上、販売チャネルは確保されているようにも見える。しかし、コンビニで販売されている雑誌は、日本で出版される雑誌のほんの一部に過ぎない。コンビニが販売しない雑誌は販売部数が伸びない仕組みになっている。
さらに、若年層を中心に紙媒体の雑誌を読む時間が減り、携帯電話やインターネットに費やす時間が増えていることも影響している。「活字離れ」というよりも、むしろ「紙離れ」とも言うべき状況が生まれている。
大同団結する雑誌業界
こうした雑誌市場の危機的な状況の中、今回、多数の出版社が大同団結して、新たな実証実験をスタートする。