16日のNY市場はユーロ売りが優勢となった。この日はユーロ圏財務相会合が開催され、10月の始めにギリシャ第2次支援を最終合意するとの方向性を示していたが、担保問題など不透明な部分も多く、市場の信頼を勝ち取ることは出来なかったようだ。また、ムーディーズによるイタリア国債の格下げへの警戒もあり、欧州債務問題への警戒感は根強い。今月は見直しの月。

ガイトナー米財務長官がユーロ圏の会合に初の参加となり、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模拡大や、ECB、ユーロ圏内の意見の統一を訴えたようだが、ユーロ圏の反応は鈍く、現時点では空振りに終わったようだ。EFSF規模拡大やユーロ共同債、ECBが過度に重債務国の国債を購入することにドイツが難色を示している。

ユーロドルは1.37台半ばまで一時下落。NY株価が堅調に推移していたが、結局、1.38台を回復出来なかった。きょうの動きで、リバウンドの最初の関門となっていた10日線や8/29-9/12下降波のフィボナッチ38.2%戻しの水準がある1.3900付近に跳ね返された格好となってしまっている。

◆カナダに見直し買い 海外からのマネー流入続く
きょうは静かなマーケットだったが、そのような中、カナダの強さが目立っている。原油は下落していたものの、対主要国通貨に対して上昇、対豪ドルでも買い優勢となっていた。今週のリバウンド相場の中で、やや出遅れ感もあったが、取り戻す動きとなっている。また、海外からのマネーが活発に流入している模様で、カナダ統計局は7月の海外投資家によるカナダ短期国債(T-BILL)への投資が59億カナダドルの買い越しと過去最高になっていた。G7の中では圧倒的に財政は健全で、経済のファンダメンタルズは良好。ただ、米経済への依存度の高さがリスクとしてあるものの、ユーロに資金を持って行けない状況の中、逃避的な需要が高まっているのかもしれない。

ドルカナダは0.97台に下落、カナダ円は78円台半ばまで上昇し、8月以降続いてきたレンジを若干上抜けそうな気配も出て来た。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)