ニュース専門チャンネルの草分けCNNが苦戦を強いられている。
2009年10月27日のニューヨーク・タイムズによると10月のプライムタイム(午後7時~11時)の視聴率は、4大ケーブルテレビ(CATV)ネットワークの最下位に転落。しかも、これまでで最低の視聴者獲得になったという。(文中敬称略)
CNNはカリスマ的リーダーであるテッド・ターナーがジョージア州アトランタで1980年6月に開局。地上放送テレビの既成概念を覆す24時間流しっぱなしのニュースという新機軸を打ち出して注目を集め、ニュース報道の地平を拓いてきたと言っても過言ではない。そのCNNも開局30周年を前に衰退モードに入っているということなのだろうか。
夜10時の「顔」が最下位に凋落
かつて、日本では久米宏がキャスターを務めた「ニュースステーション」は20%以上の高視聴率を誇るテレビ朝日の看板番組であり、夜のニュース戦争の火付け役ともなった。米国では午後10時のニュースの顔と言えばCNNのアンダーソン・クーパーだ。甘いマスクと体当たり取材で人気を獲得、クーパーがアンカーマンを務める「AC360°」は、2008年の午後10時台で視聴率トップの座に立った。
ところがである。今年「AC360°」は、最大のライバルFOXに遠く及ばないどころか、同じCNNグループのHLN(旧CNN Head Line News)にさえ敗北、さらに屈辱的なことにMSNBCが午後8時台に流した番組の10時台再放送にまで後塵を拝し、最下位を喫してしまったのだ。
具体的な数字で見ると、「AC360°」が21万1000視聴者だったのに対し、HLNが22万2000視聴者、MSNBCが22万3000視聴者、さらにこれらを大幅に上回るFOXが53万8000視聴者だった。