古くは自民党の加藤紘一氏、いま総理の鳩山由紀夫氏や民主党の重鎮たちが、標題のごときを主張している。すなわち日本にとって米国、中国の重要さは甲乙つけ難いので、双方と等距離の関係を結ぶべしという考えだ。
3カ国が均等の関係などあり得ない
三角形は常に各辺等辺でなければ落ち着かない類の潔癖主義者なら、提案に魅力を覚えるかもしれない。その種「美学」の持ち主が果たして日本にどれほど存するかは知らず、日米中3国の関係とは由来、正三角形になり得ない。また、しようと試みるべきでない。
理由を一言で言うと日本とは安全保障、なかんずく核抑止を米国に全面依存している国だからである。土台、「対等」とか、「等距離」という言葉が相当する間柄は、日米安保関係には存在していない。
そこのところのリアリティが説明抜きに納得できるかどうか。できる層は従来けして多いと言えなかったけれども、「これまで対米依存が過ぎた」ことを日中首脳会談に臨んで自省する総理が政権にいる間、増えそうな勢いはない。一層少なくなるのではないか。
ところで日米中の関係を正三角形のそれに近づけるとはどういうことか。あっけないほど簡単な図*1にしてみた。
上図の左にある三角形が現状の日米中関係を表し、右が、総理やそのブレーン、恐らく岡田克也外相始め民主党枢要の人々が描いているらしい未来図である。
左の三角形においてワシントンと東京を結ぶ辺が他の2辺より際立って短いところ、同盟の、同盟たるゆえんを示す。
*1=Tomohiko Taniguchi, “Can India Afford to ‘Lose’ Japan,” Paper submitted to the Indian Council of World Affairs and Association of Asia Scholars ICWA-AAS Asian Relations Conference Series: Emerging China: Prospects for Partnership in Asia, November 21-23, New Delhi, India