「再生の極意があるとすれば、それはいかに『気づかせるか』ということに尽きる」――。今季限りで東北楽天ゴールデンイーグルスのユニフォームを脱いだ野村克也監督は、著書『野村再生工場―叱り方、褒め方、教え方』(角川書店)の中でこう説いている。
24年間の監督生活で積み上げた勝ち星は歴代5位の通算1565。それ以上に野村氏が評価されるのは、采配を振るったそれぞれの球団で「峠を過ぎたと思われた選手や箸にも棒にもかからないとみなされていた選手を何人も生き返らせてきた」と自他ともに認めるその再生手腕だ。
素質や能力はいいものを持っていながら、「その活かし方が間違っていたり、力が衰えてきたにもかかわらず以前と同じ方法で対処しようとしていたがために、結果が出なかった」選手らに目を配り、何をなすべきかを「気づかせる」。こうしてそれまでとは明らかに違う生き生きとした姿に多くの選手を変身させてきたのである。
再生を実現させるためには、まず現実を知り、己を知るということがやはり何よりも大事だということを改めて教えてくれる。
日本に見切り付け、米欧メーカーの主戦場は中国に
2年に1度のクルマの祭典、東京モーターショー。世界不況のあおりを受け欧米の有力メーカーがこぞって出展を見送り、過去最小規模での開催となった2009年のショーは11月4日閉幕した。業績難から抜け切らず、いまだ再生途上にある自動車業界の国内各社にとって、改めて「現実を知り、己を知る」機会になったはずである。
経営再建中の米ゼネラル・モーターズ(GM)、クライスラーはもちろん、対日自動車輸出トップの独フォルクスワーゲンしかり、メルセデス・ベンツしかり。ポルシェ、伊フェラーリといった高級スポーツカーの常連も、今年の幕張メッセにその姿はなかった。