10月14日のニューヨーク株式市場は活況に沸いた。
米銀大手JPモルガン・チェースが発表した7~9月期決算は、純利益が前年同期比7倍増。前日に、半導体世界最大手のインテルが年末に掛けての増収予想を公表したことも重なり、買い材料に飢えていた投資家は十二分に刺激された。ダウ工業株30種平均は金融危機の嵐が吹き荒れた2008年10月以来、丸1年ぶりに1万ドルの大台を回復した。
当日は、S&P500種をはじめとする主要な株価指標が軒並み年初来高値を更新。とりわけ、ナスダック総合指数は、3月9日に付けた今年の底値(1268.64)に比べると、7カ月間で71.2%も急騰したことになる。金塊相場は1オンス=1100ドルという未踏の高値を目前にし、原油先物は1年ぶりに1バレル=75ドルを突破。市場は明らかに過熱している。
危機対応が招いた新たなバブル
その背景にあるのは「カネ余り」だ。金融危機対応のため、主要国政府・中央銀行は昨年秋、一斉に低金利政策と大量流動性供給に踏み切った。市中のマネーはジャブジャブだ。既に最悪期は抜け出したものの、平時の政策に立ち戻るための「出口戦略」への切り替えのタイミングを計りかねている。その間隙をついて、マーケットは、躊躇することなく利益追求に走り始めている。
「典型的なドルキャリーだ。今それをやらない理由がない」。為替ディーラーの説明は単純明快だ。連邦公開市場委員会(FOMC)声明や連邦準備制度理事会(FRB)幹部の発言を信じるならば、昨年末に導入された実質ゼロ金利政策に当面変更はない。ドルを売って得た資金を、株や商品投資に充てる図式はすっかり定着した。